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京都、金剛能楽堂で『安田顕 ひとり語り2014 〜ギターの調べとともに。』を観てまいりました。

ギターの生演奏(効果音など音響的な役割)をバックにしたひとり芝居。
「日傘と剃刀」という原作をもとにした、とある女性の時代を越えた人生のお話。

舞台に上がったひとりの女性が、様々な語りで過去を見せてくれました。
そこにある哀しさはとても切なく。
ぐっと引き込まれました。

男性の安田さんが演じる。
時に男性の役もあり。
音ギターの演奏者のみ。
時にギターと声で語る。
こういう形もあるのか、とてもおもしろいものを見ることができました。

良かった。

女性役。
事前にインタビューなどでそういうことは知っていたけど、舞台上のその人の姿にドキリとしました。
たくさん背負った雰囲気の人が登場して。
セリフを発した途端に涙が溢れてしまいました。
なんだこのひとは、と。
安田さんではなく、なんだかたまらなくなるモノを感じさせる女性がひとり登場したことに。

そんな風に始まったひとり語り。
100分ほどでしたか。
演じる方はもちろん、見る方もとても集中力のいるひとり芝居ですが、ぎゅーっとおもしろさが詰まっていて。
安田顕ではなく、何人もの人々の姿を、じっくりと見せてもらいました。

死のない、長く生きていくしかない女性。
放浪、そして男性との日々。
命の限りのある男性を見て、苦しみ、次の場所でまた生きていく。
こんな人を見続けるのは、苦しい。
限りのあること、過去は積み重なっていくこと、忘れられないこと。
哀しく苦しい物語でした。
その想いを受けて、何度涙が溢れたことか。

目をつぶっても覆ってくる哀しさ。
それをひとりで、流木のセットと扇子、ギターの音で語る。
すごいものを観ました。

ところどころね、笑いもあったのよ。

ギターさんとの掛け合いのところがあって。
だんだん繰り返してくうちに、キンパチ的なモノマネになってく顕さん。
同じように応える古澤さん。
ギター弾きながらの返しなのに、キンパチ的な手も付けちゃって向かってくから「ギター弾けない〜」とかまで入れちゃって。
「だんだん長くなっていく〜」

それから、舞台上で手影絵をするところがあって。
光の関係で、この会場はその影が壁に映ると二重・三重にもなって。
その壁を見ながらカタツムリとか関係ないものもやってたり。
そんな風に中盤の笑いも、演出としてもあるけど、気分でやってるなというところがあって。
ふふ。

哀しく真面目な演目ですが、ところどころ顕さんを出してて、同じくひとり舞台をやった戸次さんとはまた違う笑いでおもしろいなあ、と。

安田さんらしさが満載でした。
ラストの挨拶で、やりたいものをやらせてもらえるのも、スタッフやお客様のおかげ、と。
やりたいものをやってそれがおもしろいだろうと期待できるようなモノを積み重ねてきてるから見に行ってるんだよ、もっといろんなものを見たいんだよ、ということを伝えたいもんです。

素やバラエティーやプライベートを聞く感じのふつーにしている安田さんももちろんおもしろいし好きですが、エンタメを作品をつくりあげて見せてくれることを一番楽しみにしています。
ふつーと、演じる、だったら、演じる方をもっと見てみたいと思う。
「ライトを浴びるステージ上の安田顕」をもっといろいろ見たいと思っています。
また次の何かもいろいろ楽しみだ!


能楽堂。
今回はいろいろな場所、いろいろな形の舞台でやっているので、それぞれ味があるのでしょうけど、能楽堂はこれまた話や演出との調和や趣が良かったです。
花道を使ったりも。
駆け回ってたな(笑)


ギターの古澤剛さん。
友人が好きで、以前からいろいろお話は聞いてて。
安田さんとの繋がりも。(お酒的な方でなんかもういろいろ)(安田さんが古澤さんをとても気に入っていらっしゃるらしいエピソードなどいろいろと)
それがまさか、ここでこんな風に共演とは。
びっくりしましたが、良かったです。

ふふ。
ラストにそれぞれ挨拶があって。
古澤さんが、「顕さんが命を削って…削る思いで…」と言いまして。
それを受けて「削ってはいませんけど」「そういう想いでやっています」「生まれ変わったら肝臓が2つあったら」なんてことをチラッと安田さん。
ふふ。