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グランシップ静岡で、Doris&Orega Collection Vol.7 「ブラザーブラザー」を観てまいりました。

「ナンシー」に続いて2回目のDoris&Orega Collection。
いろんな層の方々が、楽しかった、と思えるような演劇を作られているのだと思います。
たくさんの笑い声が聞こえました。
(それも善し悪し…なんだけど。)

東京公演を3回観ての、今日の静岡公演鑑賞でした。

家族、兄弟のお話。
ある日突然長男が失踪してしまった阿久津家。
残された10代20代の妹弟はいろんな想いを抱え、20年生きてきた。
そんな中、両親が亡くなった。
そこへ、再び突然兄が帰ってきた。

兄の失踪の影響で家族の人生が変わった。
失踪しなければ、こうでなかった、という想いを抱えて生きてきた。
表に出さないけど、いろんな気持ちがそれぞれの立場であった。
それを出すつもりはなく、もう兄が帰ってこない日々を生きてくつもりだっただろうに、帰ってきた。

ぐるぐるいろんな想いが溢れていました。
哀しく暗いばかりではないけれど、重い気持ち。
わかるようでわからない気持ちは、家族のなかだからこそあったりするもので。

兄にももちろんいろんな気持ちがあって。
ちょっとずつ出しては、揉めて。
30代40代になれば、いろいろあって今ここにいるのだものね。
そう思うと、とても切なく。

でも、ぐちゃぐちゃになったままでもないのよね、ここは。
なんとか先を見ようとするのよね。


イヤになり辛くなり逃げ出すということをしてしまった小心者の失踪した兄は、家族に申し訳ない気持ちが大きく、そしてそんな自分を受け入れてもらえるかどうか心配で、それを飛ばすように笑う。

妹は長男がいなくなったので一番上になり、次男も姉のみになったので長男でもあるということになり、兄のいなくなった家で両親の想いを感じながら、それぞれの気持ちがあって。
兄のせいでと思いつつ、でもやっぱり自分がちゃんとしなくちゃいけないのかな、という気持ちを抱えてて。
三男は、自分がまだまだ子どもだったばかりに…と、一番下から家族を見ていて…。

うんうん、わかる、わかるなーという思いで観ていました。

両親、家、兄弟は、蔑ろにはできない、という気持ちがあるもんだよな…という想いで溢れているお話でした。


そんなお話に、思わず笑ってしまうやり取りをいれてあり、笑いながらじーんとして、見ておりました。


安田さんは次男で、夢を諦め、離婚やリストラなどがあって苦境だけど、亡くなった父親のやっていた病院を続けたいと考え、医者になろうと心に決めていたひと。
それを感じながら最初から見ていると、ぐっと険しい表情で、気持ちをどこにぶつけようかと堪えている姿がたまりませんでした。

思わず笑ってしまうようなところでも、笑わず。
その気持ちにそおうとそすると、確かに笑えなくて。
ああ…と切ない気持ちになりました。

でも、雷でピカカゼさまを怖がるかわいらしい一面が。
髪の毛ぐちゃぐちゃで、泣きそうになりながら、バタバタしてる姿もたまらなかったです。
良かった。




静岡公演、カーテンコール。
一人ひとり挨拶をしてくださいました。

西村さんは長々と(笑)
グランシップに着いて、間違えて隣の小ホールに行ってしまったそうで。
そこでは地元の劇団の皆様が稽古中。
あなたはここで稽古を見るのか、あなたの行く場所は隣だ、とわりと冷たく言われてしまったそうです。
演劇の盛んな静岡で…というようなお話もされていました。

そして、昨日は安田さんの40歳の誕生日で。
西村さんのあとの一人ひとりの挨拶は誕生日だったと振られた安田さんから。
惑わずやっていこうと思います、と。
こんな高いところからすみません、と言って前列を見たあと、後ろの方を見て舞台よりずっと高く、はっとなり笑っていました。
静岡は、東照宮がありますよね、何回かのぼっています、と。
それから、おでん。泊まりたいけど今日は帰らねばならぬことを残念がっていました。

そのあとは本多さん。
サッカーをやっていて、年に一回は遠征に来てたけど静岡の皆さまは完膚なきまでに点数を取られたと思い出話。でも今日あたたかい拍手をもらえて良かったと。
あと安田さんの誕生日に触れて、39歳の安田さんも40歳の安田さんも知っている、と(笑)

長谷川さんは、41歳で顕ちゃんより上なのに三男でいいのかな?と。

皆さま、安田さんに触れつつ挨拶されていて、爆笑のカーテンコールでした。

ラスト、西村さんが「さようなら!」と挨拶されたのですが、なぜか「さようなら!…安田さん!」と。謎の挨拶で終わってしまいました。
最後まで弄られた安田さん、くしゃくしゃの笑顔をたくさん見れて良かったです。


ここからは、ぶつぶつ。ネガティブな気持ち。

実は、初めて観たとき、とても残念な気持ちになりました。
笑ったし、切なかったし、いいシーンはあったし、登場人物のキャラも良かったし、キャストの皆様もみんな好き。
でも、なんだか、とっちらかったような、どこに気持ちを持っていけばいいのかわからないような想いが残り…何がいけないんだろう?と凄く考えてしまってモヤモヤが残ったのです。
つまらなかった、とかではない、おもしろい話をやってるのに、それが活きてなくてもったいないな…という想いがいっぱいのモヤモヤが。

どうしたらいいのだろうと思いながら、2回を観ました。
話がわかっているだけに、それぞれの想いを知って一人ひとりに入り込んで観ていたら、ぐわっと来るものがあったのです。
しゃべっているひとではなく、一人ひとりをじっと見る。
このひとは…このひとは…とじっくり想いを感じながら見ていたら、ああ、やっぱりいい話だと。

ドタバタと笑いが多すぎて、飛ばされちゃうのがなんとも苦手だったんだな、と。
じんわり見たいな、と。
親切すぎて、飽きないようにしすぎて、笑いを入れすぎて、なんだかな、と。

素直な気持ちで舞台をキョロキョロとしながら観ていると、私は入ってこないのだな、とそんなことを感じて、3回目、4回目と観るようにしました。
こんな話が飛び出して、こんな展開になって…と頭に入っていると、それをこのひとは、どう感じてるんだろうと、注目して見るのです。
たまらなかった。
それぞれ感じてるいろんな気持ちが溢れています。
はじめの方からすでにうるうる。
好きになれて良かった。

ただ、どうしても気持ちを削がれる演出はあって。
それいらなくね?と思っているところは、消えません。