2e26517c.jpg先週,21日の日曜日に愛知県勤労会館へ『冬の絵空』を観に行ってまいりました。

年末のアレ,赤穂事件を題材にしたお話。
さすがの私も,忠臣蔵はお芝居だってことは知っております。
そしてこれは,それとはちょっと別方向から,残された結末に辿り着くお話。
おもしろかったです,すごく。

謀り,偽と真,証。
生きること,死ぬこと。
ただただ忠義1本を引っぱるんじゃなく。
違った角度で人間臭さを出したお話でした。
しかもなかなか心に引っかかる感情がいっぱい。
鳥肌の立つようなドキリとする,セリフや人間たちの姿が溢れていて。
これも,ありだよなーと思えてしまうような,よくできたお話でした。

今年は,個人的に時代小説にはまっていて。
基本的に捕り物で,ちょっと粋なやつなんですが。
何というか,このお話も,繋がりとかまとめ方がその好みの「粋」なところに近くて,観ていてウワーッと楽しくなってしまいました。
ただの忠義や私利私欲とはちょっと違う,人間がその瞬間を生きようとする力を感じる,いやーな嫌らしさの薄いお話だなと。
悲しさも溢れているのですが,それと共にニヤリとすることの多かったです。

それぞれ願った願ったことは,ただひとつ小さなコトだったりするのに。
たくさんの人が生きていたから,そこにいたから変わってしまったのかもしれないなー。
悲しいなー・・・。

よかったです。
もっかい観たいなーと,ちょっと思いました。

以下,ちょっとだけ覚え書き。
・今回はなぜか一番前で観劇。いろいろ弊害があったり無かったり。でも迫力があってよかったなー。というワケで,間近で観てしまった役者陣。気づけばめちゃめちゃ豪華。

・小松さんが出てる!伊達さんも!加藤貴子さんも!

・それより。実はこれは,今年5回目の片桐仁さんでした。

・今回の役はもうズル過ぎる。最初から最後まで,いろんな意味でおいしい。え!っていう登場から,セリフはないのに何気なく目を引いてしまう動きとか,イイところで語っちゃうところとか。

・それから,思わず喋っちゃうとか,ボリボリお尻かいてるのとか,こっそり覗きをしてるのととか,暗転で舞台転換を一緒にやりながらなんとなく去っていくのとか,意外とよく出てて。そして語り,行ってしまう。なんか,すげえよかったわ!こういう役好きだ。

・これ,先輩役者さんたちみんなにおいしい役を,ということで書いたお話らしく。あーなるほどなー・・・という感じ。それぞれが,ぞれぞれにおいしい。だけど,ムリヤリ感は無くてうまくまとまっていた。

・藤木直人さんは鼻筋の通った,キレイな顔の人だった。間近で観るとやはりカッコ良いのなー。でもちと,歌舞伎役者ってのは厳しかったかも。それから,ホントの自分は?というのがピンと来るような演技が見られなかったのは残念だけど,立ち姿とかただそこにいる溶け込む雰囲気はよかった。キライじゃないなー・・・。

・ワルモノ生瀬さんは,さすが。仕かけた理由ってのもなんだか悪いんだけど、人間臭くて,その力のあるひとがやったのならまあ・・・って思えてしまう,何ともいえない迫力とか存在感があってよかった。ワルモノっぷりが,いやらしくなく,このひともワルモノだけどそれなりに生きようとしている人間だなあと。グッと引き込まれる力があって,ドキドキしました。

・舞台上で死ねますか?は重かったのだなあ。

・そうそう,最後の挨拶は,生瀬さんがまず登場で。ラストの演出でたくさんの桜が舞って,舞台が紙ふぶきで染まってるところを,真っ直ぐ歩いて来るんですが。それがぶわーっと広がってめちゃくちゃよかったです。かっこいいじゃない!という演出。グッと来たあとに,あれはよかった。

・暗めの舞台セットだったけど,その桜とか木とか,キレイでした。

・橋本じゅんさんの役は,もうラストの表情全てなのですなあ・・・。優しい愛のあるひとが,泣く。「さあ討ち入りだ!」って真っ直ぐ走れるのは,物語過ぎるんだよなーとしみじみ思う。

・浪士たちとか,吉良と一学とか,周りもおもしろかったな。濃い!

・「愛 きら」はなんなんだー。

・堀部夫妻は泣けました。加藤貴子さんは,以前観たときはちょっと・・・だったけど,この役はよかったわあ。家を出た旦那を見送り部屋に戻るときとか,グッと来た。

・生きてた殿様の中村まことさんも,おもしろかったー。痛いじゃんって生きてる役がハマってて。でも何となく深みがあって。あのラストの瞬間,ふと本物なんてわからないかも!と思ってしまった。「証を・・・。」ってのは,ここでも繋がってきて。おもしろかった。

・ホントにおもしろかった。好きな話でした・・・。