af6e8c82.jpg先月30日,名古屋のテレピアホールで行われた,阿佐ヶ谷スパーダースのスクリーンシアター&トークセッションへ行ってまいりました。

こうやって大きなスクリーンで舞台作品を観るのは初めて。(だぶん)
微妙な距離感に最初は少し戸惑いましたが,気づけばぐーっと引き込まれ,楽しめました。
せっかくなので,もうちょっとイイ環境で観られたらイイのに・・・と思ったり。

上映されたのは,阿佐スパの2007年の作品『少女とガソリン』。
おもしろい作品でした。

心のどっかでわかるなーと思うような人の感情がたくさんあって。
でも,ただ真っ直ぐそれに感情移入できるかというとそうでもない。
観ている方の気持ちの流れを微妙に外れていくような,セリフだったり状況だったり展開があって。
その流れに,なんとも言えないざわざわとしたものを感じる。
なんだろう,コレなんだろう・・・って。
わからないワケではないんだけど,ちょっとドキッとする。
このヒトの書くものはそんな感じなのだろうか。
でもこれが意外と心地良くておもしろい。
苦しいんだけどモヤモヤっとはしない,話の持って行き方なんでしょうなあ。
良かったです。

上映のあとは,阿佐スパの3人がアナウンサーのインタビューやお客さんからの質問に答えたりの1時間のトーク。
深かったり浅かったりよくわからなかったりと,いろんな話を聞けて,なかなか楽しい時間でした。

以下,トークの部分も含めて覚え書き。
■スクリーンシアター『少女とガソリン』

・タイトルからでは想像できないセットに動揺する。ここでお話が展開するのか?・・・というかたぶん,眠くならないか私!の方に動揺。

・居酒屋です。

・中山ゆーいちろーだ。相変わらず年齢不詳だ。

・このヒトは,いくつか観たけど,『ダブリン・・・』の「コーラ2つ」のシーンが一番好き。「番号札ありませんけど。」「問題です!」やまうちたかやーとやってるからなんだけど。って全然関係ない話だ。とにかく好きだってことだ。

・そして,中村まことさん。『SISTERS』で観たばっかりのあの人。なんだか応援したくなっちゃうような顔が好き。強がる人なイメージ。

・「酒」にまつわるお話らしい。セットうや男たちの雰囲気にどんよりしそう。と思ったら。

・わりと,思っていた以上に,笑えるシーンがあって驚いた。しかも,暴走気味だったり繰り返したりの,ふつーに笑いを取ろうとするシーン。そしてふつーに笑った。

・酒を出せ!のおっさんが,何度もヤられちゃうのを繰り返していて,ああこういうのもやるんだなーと驚いた。面白いんだけど,イメージしていた中では意外な感じだった。私は長塚圭史というヒトにどんな印象を持っていたんだろう。

・それから,だいごろう。真実と書いてまこと。櫛田の水と塩かあじのもとだっけ?絶対イヤー。池田鉄洋が,真顔で振りまいていた姿が忘れられません。水浸し。

・「エデンに!」

・酔うためだけの酒。酒好きですが,日本酒はダメなので,それがどれほどのモノかはわからない。でも一口でヤられちゃうってどんなんだろう・・・。でも,まことに近い酒は,やっぱりイヤー。

・アイドル,リポリン。歌われてしまった。

・真実がいっぱい,は笑ったなー。松村さんに笑ったなー。「絶対見つからないよ!」

・男臭さがどんどん出てきて,おもしろくなってくる。それしかないんだ!って雰囲気がイイなあと思う。自分の人生を思って,過去や未来や現在を思って,拳を握る。半分,意地みたいな。だってなんだか悔しいじゃないか!みたいな。冷静に観られても,何か言われたとしても,でもどうしようもないんだ!っていう,人間の弱さを感じたり。

・でも「平等だ!」には付いていけない。自由と平等。

・次々と登場人物が増えて行くのがこれまた意外だった。4〜5人だと思っていたのよー。小さなステージの小さな居酒屋がどんどん人で溢れていく。(まあ20人とかになっちゃったわけではないよ。)

・動く長塚圭史。それもあんまり観たことなかった。ステージで見ると意外に若い。

・意外に・・・ばっかり思ってた。だって,意外におもしろいんだもの。

・いきなりリポリン登場してるし!とか,お話の展開の意外さもあった。もっと外の世界での動きがあるのかと思ったら,ここ中心で進むのか!とか。

・小劇場っぽい,イイじゃないか!っていう勢いがあって。その裏にある,だって・・・みたいな切なさもあって。その雰囲気に呑まれる。

・リポリンがただのアイドルだったのはちょっとがっかりした。歌がふつーだったっていうところに,だろうか。リポ役の子にだろうか。あの子自身はよかったんだけど,あれだけの男たちの熱狂から想像したアイドル像みたいなものが違ったというか。

・リポちゃんというキャラはよかったよ。櫛田にハマってくのとか。そして,実は・・・とか。

・それぞれ葛藤を持っていて,同じ気持ちは持ちつつも,なんとなくすれ違っていく苦しさ,切なさがあって,あの寂れた居酒屋の雰囲気とともに呑まれる。

・そして暴走していく人間たち。爆発?なんでチェーンソー!!

・そのままさらに暴走する『うわさのおとこ』を思い出す。でもちょっと違った。個々で爆発するけど,連鎖してさらに・・・という感じではない。それぞれの中での爆発。

・犬山さんが,かなりシリアスな役で思わず見入る。中村さんとの長い長い2人のシーンが良かった。長いけど,よかった。あっ,こういうところに行く話なのかーと,前半と印象の違う話に驚く。わわわわっていう,男の力での展開に慌てたけど,そんなシーンの中に家族が入ってきて驚く。

・しかもそれらが,違うように見えるものが,何と言うか観ていてすんなり落ち着く感じにこれまた驚く。

・胸がざわざわとした。長塚圭史の書くお話は,奥底のほうで誰の心とも繋がっていて,しかもざわざわとそれを感じるくらいで。不思議だ。でもおもしろい。そんなお話だった。

・もっと観てみよう。

・さて。この2時間半弱の舞台の映像を観たあと,20分の休憩で,トークセッションへ。


■トークセッション

・アナウンサーのMCでのトークセッション。ステージ上に呼ぶ前に,チラッと紙を見てから名前を呼ぶので,ドキッとする。知らないのにやるのか!

・結局だいぶあとで,長塚さんだったかにつっこまれたけど,「どういう順番で座るのか確認」するためだったそうで。

・でもやっぱり何も知らない人だった。舞台の感想を言ってみたり,3人のイメージを言ってみたりするのだけど,何か言っとけばイイというような適当さ加減でがっかりする。ちょっと的外れなのだ。で,「〜ですよねー。」と客席を見てニコッとして同意を求めているようだけど無反応。ステージ上の3人含め,遅れての失笑のみ。最後の方で「演劇初心者の・・・」みたいなことを言っていたら,「あなただけでしょ。」と長塚さんに言われてた・・・。

・前半は,このアナの質問に3人が答えていく形式。そんなことが聞きたいんじゃなーい!って質問や,結局何が聞きたいのかはっきりしない!って質問ばかりで,帰りたくなる。ホントに帰りたくなる。質問への答えに対してのリアクションもいまいちで,トークも続いてなかった。興味なくても,わからなくても,もうちょっとそれなりの返し方があるだろう。というワケで,結局あまり覚えていないのだ。

・でもまあ覚えている限りの内容を。

・マイク
トークが始まって「マイク!」といきなり長塚さんが2人に持つように声を掛けていて笑った。別になしで喋ろうとしていたワケではないんだけど。トーク中,中山さんはわりとずっとマイクを持っていた。伊達さんはおろし気味?長塚さんは,話すときだけスイッチを入れていた。入れていた,というより,その都度切っていたという感じ。

・3人でこうやってやるのは初めて?
インタビューはよく受けるけど,こういうのはあんまりない。

・女性が多いですね。
最近は自分たちよりも年上の男性なんかがお客さんに増えている。こういう感じ(女性が多い)なのは久しぶり。

・まぶしいのか?
客席を見渡したりしたあと,しばらく中山さんは遠くを見たり眩しいときにやるようなおでこに手を当てた仕草のままで話していて,長塚さんに「まぶしいのか?」と言われていた。

・止まれ!
そういえば,中山さんはトーク中わりとクルクル椅子を左右に回しながら座ってて。ふつーに長塚さんに「止まれ」と言われたけど流してたような。

・見るな。聞くな
たまに困るとちらっと長塚さんを見る伊達さん。フォローしてくれることもあったけど,どう考えても伊達さんしか喋れないときは,「俺に聞くな」とか「俺を見るな」と言われてた。

・『少女とガソリン』の話。
去年のなんだけど・・・。ちょうどシリアスな舞台をやっている間だったので,こういうものを書きたかった。わりとすぐできた。ちょっと力技のところもあったけど。
腕を切るシーンは稽古中にできた。腕がないのをどう見せるか考えた。前に同じようなことをやったときは,バレバレだった。今回どうなっているかは・・・言わない。

・結構舞台が濡れるシーン(だいごろうを使ったまこと,とか。)があったが,どうやって片付けていた?
舞台に穴が開いていて・・・ではなくて,暗転の間にみんな必死で拭いていた。テーブルを片付けたり,結構忙しく動いている。でも,たまにトイレに行きたくなる人もいる。ずっとステージで寝てる役の人がいるんだけど,その何もしないというのが辛くて,その後に出番がないのだから後にすればイイのに,そういうときにトイレに行っていた。

・舞台で寝ているのはツライ話。
どうしてもその間に素になってしまう。で,その後セリフがあったりすると非常にツライ。「毎回僕(長塚さん)の芝居では結構寝てる人が出てくるんだけど・・・。」
アナが「じゃあ寝てる間も緊張感持ってなきゃならないですね・・・」とか言い出していた。そーいうコトじゃなくてー!

・3人の出会いは?
大学2年?3年?ここは長いよ,高校生だから。

・中山さんが女みたいな話
例えば極端な話だが,長塚さんがリポリンばっかり見てあげていると,「僕だっておもしろいことやってるのに,全然見てくれない!」ってなる。めんどくさい女みたい。俺の女みたい。

・「そんなお忙しい皆さんですけど・・・」みたいな流れを無理やり作って,よくある「お休みの日は何を?」な質問。いや,「忙しい中での癒し」みたいな質問だったか。たぶん趣味とか,ホッとする瞬間みたいな話をしたかった雰囲気だった。
長塚さんは「映画を観たり読書。」と。「もっと何か違うことを言えばよかった?」とか。伊達さんは「水泳。」。だいぶあとでまた趣味の話かなんかをしていて,「だから,水泳。」みたいなやり取りがあったような。何を泳ぐか聞かれて「クロール。」とか,そんな話もしていた。
コラボTシャツの話をしていて,デザインに自分の内面を出すような感じにしようという話もあった。伊達さんは,「バイクと水泳」しか思いつかなかった。

・「みなさん,おしゃれですね。」と,コラボTシャツを着て,それぞれジャケット類を合わせている3人に言う。中山さんはむらさきとしろだったかの横シマのカーディガンぽいものを羽織っていて。「しましま!」とか言われていた。昔は親に言われても着なかったのに,今では新幹線のなかとか寒いかもしれないので,「こんなのを持ち歩く人間になっちゃって」とか言っていた。

・「舞台の魅力を・・・」てな質問を最後にってしたけど,長塚さんに「それホントに聞きたい?」「答えないよ。」とヤられる。「書いてあるの?」「いえ,自分で考えたんですけど。これでしめようと思って・・・。」そういうのは,テレビとかラジオだったらイイけど,この場ではもうちょっとポイント押さえた質問の仕方だろうなあ。最後までがっかりだった。

・お客さんからの質問を6人くらい。

・「阿佐スパの作品をDVD化はしないのか?」
今のところするつもりはない。やはり舞台は生だから。
映像が自分たちの知らないところで流れるのも嫌。こうやって上映してトークができるのはイイ。
でも最近は,うまいクリエイターの方たちがたくさんいるので。また話合って。
あと,DVDは儲かるらしいんですよ。

・「最近観た舞台でおもしろかったものは?」
中山さん・・・何か忘れたけど,ダンス。
伊達さん・・・中山さんが答えている間にかなり考えたけど出てこず,崎に長塚さんが話してからまた順番が回ってくるんだけどやっぱり出てこない。で,「ライオンキング」。四季なんてって思ってたけど,驚いた。動物たちが歌いだして驚いた。ちゃんと訓練したヒトたちがやるのは凄かった。
長塚さん・・・悩んでたけど,お父さんが翻訳して出た「エンバース」。「父親の芝居を誉める変なヤツ。」父親が翻訳をやったのも驚いたけど,語彙が豊富なお父さんがやった翻訳は良かった。翻訳モノを敬遠している人もいるかもしれないけど,ちゃんとやればおもしろいんだというようなコトを言っていた。
言葉について凄く語っていたように思う。前にブログで書いていたこととはちょっと違う視点だった気がする。
誰かが,三軒茶屋婦人会もすすめていたなー。

・「また,あのメンバーたちでこのシリーズをやってもらいたい。」
もともとシリーズにするつもりはなかった。
でも自然とまたやりたいねとなる人たちだから,やりたい。
でも長塚さんはやりたくない。みんな中山さんみたいに長塚さんに迫るからめんどくさい。
騙し騙しやっていきます。

・長塚さん「『SISTERS』の大阪公演のカーテンコールに出てこなかったけど,そのとき大阪にいた?」
いた。千秋楽は出たけど,他の日は一番後ろで見ていた。あまり出るのは好きではない,書いた人間の顔が見えるのはどうかと思う,水の中出るのはちょっと・・・とか。

・伊達さん「イヌの日」の再演がすごくよかった。
自分だけ,初演と再演,違う役をやったんだけど。再演のときやった役を初演にやった方に誉めてもらって嬉しかった。自分的にも再演の方がいい。

・中山さん「今でもアボカド・ディップを作っているのか。」
最近は作ってないけど・・・。いろいろ作ったり持っていったりはしている。サンドウィッチとか。
長塚さんは稽古を進めたいんだけど,思い感じで稽古をやっていきたいんだけど,5分10分の休憩のときにそれを作るので稽古場が緩む。タバコを吸いに行って差し出されるとつい食べちゃって。で,それがおいしいと言うとどんどん作って差し出される。で,気づくと休憩が20分くらいに延びている。他の現場ではやらないで欲しい。

・他の舞台に出ていて,阿佐スパをやるとどうか。
相手がどう出るかとかわかるのでやりやすいというようなことを言っていた。
『失われた・・・』で長塚さんと中山さんのシーンがあって。別に伊達さんに演出を頼んだわけではないんだけど,自然と演出というような形になってくれた。でも「こうして」って言うんじゃなくて,「あそこ気持ち悪かったでしょ」って多分本人たちも気付いていただろうことを言っただけ。

・阿佐スパの作品。
最近はお客さんが受身になり過ぎるものが多い。そうじゃないものを作っていきたい。
長塚さんは,驚くようなものを書いてくる。腕切ってしまった後,暗転後にみんなで笑ってるとか,びっくりする。

・長塚さん「最近の舞台について(?)野田さんや蜷川さんとは,阿佐スパは違うが・・・とか。」
うまく答えられるかわからないんだけど・・・。
最近は主流が無い。小劇場は,主流に対して向かっていくような感じだと思うんだけど,それが無い。

・ロンドン留学について。
古くからのものがあるところ,そこで何か見てこられたらイイと思う。それをそのまま取り入れることはないけど,そこから何か・・・というようなコトを言っていた。
あと,まだまだやりたいことはたくさんあるんだけど,この時点で行けるのはよかったとか。

・阿佐スパの新作
新しいのをやる前に,今までやったものをもう一度練り直す作業を先にしたい。

・このために来たんだから。
最後の質問というところで3人手を挙げていた人がいたんだけど,時間を見て,ひとり,というアナに,「厳しいね。3人いいよ。このために来たんだから。」って。結局3人やってくれた。


・最後は抽選会。パンフレットとポスターとコラボTシャツ。
そのTシャツにサインが欲しいかいちいち聞く。みんな欲しい。
先に書いておけばよかったなー。
でも書いてあったら着られないんじゃないかと悩んで,先に書かなかった。
で,当たった人ひとりひとりに,どこに書いて欲しいか聞いている。マメですねーと言われる2人に,長塚さんは「それじゃあ僕がそうじゃないみたい・・・」。サインを書いたTシャツを,袋に入れ直す長塚さん。「気遣いできるところを・・・。」

・書いている間,間が持たないのでアナウンサーとトークする。でも相変わらずのグダグダだった。

・例えば,岐阜で生まれた中山さんに,どうしても「帰ってきた」と言わせたいアナのしつこい振りもあって,生まれてすぐ行っちゃったし・・・と言いつつも話す中山さん。
松坂屋には毎週来てました。おじいちゃんが好きで来ていたので・・・。

・抽選会自体の進行も,途中から「先へ進めたいタイプ」の長塚さんを中心に阿佐スパさんがやっていた。

・絶対,3人だけでやってもトークセッションできたと思う内容だった。全部,お客さんからの質問でよかったね。もしくは,先に集めておくとかね。でも阿佐スパの3人がよかったので楽しかった。このイベントはおもしろかった。