26e73eeb.jpg東京芸術劇場に,アトリエ・ダンカンプロデュース『空中ブランコ』を観に行ってまいりました。

地方を回るサーカス団「新日本サーカス」。
サーカスの花形・空中ブランコ乗りの男は,最近失敗続き。
キャッチャーがどうもうまくキャッチしてくれないのだ。
不眠症気味で体調も悪く,休演日に病院へ行く。

病院にいたのは,ちょっと変わった神経科医と看護師。
たいして話も聞かず,太い注射を打つ。
そして,サーカスが見たい!往診だ!と2人は翌日サーカスにやってくる。

様々な病を抱えた患者と,神経科医・伊良部と看護師マユミちゃんのコンビのお話シリーズが原作の作品でごさいます。

うーん,笑ったりオオッと驚くこともあり,わりと見た目は明るめに作られてはいましたが,なかなか重い気分を多く感じるお話でした。

サーカスという小さな閉鎖的なコミュニティー。
華やかなステージとは対象的に,ブランコ乗りだけでなく,みんなそれぞれ悩みを抱えている。
きっと誰かの何かは自分と重なるところがあって。
そう思うとなんだか気が重くなるのですな。

何にもしてないようで,少しずつ患者たちの心を動かす伊良部。
ただ引っかき回しているようで,実はみんなの気持ちを吐き出させたり,向かい合うようさせたり,気付かせたり。
何となく話が動いているようだけど,彼の存在が大きいのだ。
それがラストのブランコ乗りとのやり取りに繋がる。
頭も回さないと置いていかれちゃう話でもありました。

以下,覚え書き。
・サーカスシーンが多くて驚いた。しかもわりと本気だ。尾藤さんのジャグリングだけで驚いた。

・サーカスだけに衣装がステキ過ぎ。ピチピチとか。ぼくもとさきこさんがかわいらしかった。

・かわいいのはマユミちゃんもそうだ。なぜそんな姿・・・!でもかわいいからイイのだ。

・いちおう伊良部先生は名医なのですが,うーん,描ききれてなかった気がします。おもしろい,おかしな男っていうのはバッチリだったのですが,もうちょっとシリアスな雰囲気が見えるところがあってもよかったような・・・。

・でも登場からインパクト大でよかったです。延々と続く気がしてちょっと疲れたシーンではありましたが,後輩の部屋で飲むのシーンは彼がいたからこそだし,笑わせてももらった。

・あー,でもプチ乱闘に飛ばされてる姿は,いまさらおもしろくない・・・。

・マユミちゃんもたまにポーンと的を得たことを言っちゃってイケてるんだけど。好奇心旺盛なとことか,酒にタバコに,いざというとき素早いとことかイイんだけど。でもちょっと物足りない。うーん,ぼくもとさんや高橋さんと差をつけるいみで,もうちょっとゆっくり喋ってもよかったかも。

・「私が話つけてくる!」は惚れた。

・悲しいかな,あまり役名を覚えていない・・・。モミジカエデは覚えてた!

・あぁこの子たちもいろいろあるのね・・・と双子のシーンは少しウルッときた。うーん,気付いたマユミちゃんがサラっと言ってるあたりに惚れたからかなあ。ああいう女の子好きだ。グサッとくるけど。

・客席にピエロー!は,ちょっとだれる頃合いで,いいタイミングでした。割ったし!

・意外といろんな「音」が大きめでしたな。マイク使ったりBGMとか,とサーカスシーンではわかるけど,なんだか,わかっててもマイク使ってますというのをあんまり意識させられたくないなあ。

・聞き取りにくいよりはいいか。

・謎の手紙。ちょっとサラっと流し過ぎじゃないだろうか。それ以外も,いろんな問題が最後急にまとめられちゃったような気がしました。

・ブランコ話はよかった。まあ鈍感な私でも最初に気付いてしまう事実ではありましたが,あれはあれでイイのかなと。コウちゃんは気付かなかったということこそ,彼の問題だったわけで。で,それはたぶん誰しも有り得ることなのだ。

・でもやはり鈍感なので,伊良部先生が仕掛けたあたりで,奥さんの動揺ぶりに,素直に間違った方向に考えを持っていかれるところだった。ビデオを撮り終わる頃まで。バカだ。

・ラストがなんだか好きではなかった。もう5秒早く終わってほしかったなあ・・・。ブランコにぶら下がった瞬間でイイよ。十分だよ。あれは明らかにできないからに見える。

・ラスト,それぞれの芸見せでおわり。ぼくもとさんのバトンと,マユミちゃんの側転が好きだ。

・なんだかんだ言って,ぼくもとさきこさんにかなり注目していた気がする・・・。かわいらしい動きなのだ。