『チーム・バチスタの栄光』を観に行ってまいりました。

難しい手術の成功率100%を誇るチームが,ここのところなぜか失敗続き。
何が原因なのかわからない。
でもおかしいのは確か。
そこで,別の科の医師に調査を依頼する・・・。

おもしろかったです。
医療の現場というわかりにくい分野だけど,視点がわかりやすいところに置かれていて。
ダラダラとせずに,テンポよく話も進み。
クルックルッと展開もあり。
なんとも言えないお話ではありますが,観ている側に観ているコトを楽しませようとしている作品でした。
手術というモノを扱っていてかなり専門的なところがカギ。
ただ,調査を全く別の科の人間がしているように,違う観点から原因を探ろうとする。

院長先生が調査にグチ内科の医師を選んだのだよな・・・。
もともと部長だったけど,田口先生でも良いと言った。
何を思って選んだのでしょうな。

で,この先生がなかなか地味で。
よくある「どんな事件もそのヒラメキで解決してしまう天才!」というようなヒトではない。
聞き上手というコトなんだろうけど,でもただ聞いているだけに見える。
傍から見るとなんだか頼りなく,どこがイイのかわからない。

だけど,そういうモノなのかな,この科の先生というのは。
調子が悪いんだけど検査しても異常はないと言われる・・・と言う患者に,「でも苦しいんですよね」というようなコトを言っていました。
ドキッとしました。
これを何気なく言うのが難しい。
どうしても「がんばれ」という言葉だったり,何か余計なことを言いたくなってしまう。

・・・ああ,⇒コレですね,共感。

話を聞いて,共感する。
田口先生はそれをする人。

でもまあ結局はアレなんですが,聞き取りや足や強引さで調べていく白鳥とは別の視点で,田口先生は必要な人だった。(たぶん。)
田口・白鳥は良いコンビというところまでは行っていないけど,微妙なところで向かい合っているのがまた良かったように思います。

田口先生は,スクリーンの外から観ている方と同じ目線にいる。
あんまり自分で推理しようとせずわりとボーッと観ている私には,そう感じられました。
だから徐々に見える感じが置いてかれなくて良かったです。
戸惑ったり困ったり,怒られたり,泣き崩れたり,ギラギラとしていない感じも。

あー,あの動物のたとえはおもしろいけど,ちょっとわかりにくかったデス。
コヨーテとかピンと来ない・・・。

その他のキャラクターもおもしろかったです。

もうひとりの調査する人・白鳥の阿部寛,ちょっと上田@とりっくチック(「すんでる・・・!」は笑ったなあ。魚にあんなにエサ!も。)でしたが,笑顔でも目は笑ってなくて,コワイ人間。
ふにゃ〜とした感じの田口先生と違い,これまた彼だからわかったコトってのもあって,いいキャラでした。
身長の高さもプラスされた威圧的な存在感がまた・・・。

田口先生のそばにいて看護士,ほくろに嫁に田口先生の患者たち,院長に世界一周の教授・・・バチスタとは一歩下がったところにいたヒトたちですが,何気なく暖かく。
バチスタチームのみなさんは,どいつも何か持っていそうだしでも単純そうという描かれ方で,ばっちりです。

ああ,チームのリーダー桐生先生は,どっかで見たことあるなあと思っていたら・・・。
うーん,そんなによく覚えているワケではないのですが,こんな感じだったか?
地味な生真面目そうな役。
ちょっと淡々として物静かな感じで,印象が薄めのキャラでした。
でもまあ,チーム7人のキャラ含め,いろんなバランスとか考えるとあれくらいでイイのかなあ。

たくさん人間が出てきますが,何にも知らないところから田口先生が調査をはじめるので,自然にあの病院の中に入っていける感じがしました。

ちなみに心臓の手術(バチスタ手術)を扱ったお話なので,とにかくたくさんその手術シーンが出てきます。
剥き出しドクドクの心臓が大きなスクリーンいっぱいに映るのです。
直接いろいろつながれてたり,メスで切られたり縫われたり,鼓動が止まったり動いたり・・・。
手術の映像ってのが凄く苦手でして,切られているのを見ると自分もそこが痛くなるほど。

だけど,こんなに何度も見せられるとだんだん慣れてくるのですなあ。
最後の方はもう,顔をそむけたりもせずに普通に見ていました。
自分の中にも同じようにある心臓だとは思わなくなってきて。
えーと・・・肉?とか思ってた・・・。

さて,物語の結は。
いろいろ理解しがたいところではありましたが,物語としては納得。
田口と白鳥のコンビや,ナゾを解いていく流れが良かったです。
ムリヤリ感や唐突さ,違和感などもなく。
「あー・・・」とラストを迎えました。

ネタバレ。
見えなくなってもまだ出来る,自分を生かしたい,娯楽が欲しい・・・。
コワイよー。
院長たちの会見での謝罪シーンは何も感じられない。
そんなコトで済むはずが無い。
そんなコトしても何の意味もない。
だけど彼らはそうするしかない。
虚しいシーンでした。
そして田中さんはいいキャスティングでしたな。
告白シーンがコワかった。


ホントになんとも言えないお話でしたが,おもしろいミステリー。
そう来るかー,とヤられました。
元は小説ですが,ページをめくった時の衝撃は良いでしょうなあ。

ちなみにこれを撮った監督は『アヒルと鴨・・・』も撮った人で。
たまたまそちらを観てすぐ出掛けたのですが,ふふっ,雰囲気の似た作品でそれもまたおもしろかったです。個人的に。


最後にちょこっと。
うた。
なんであんな曲なのだろう・・・。

ラストシーンからの流れはいいのですが,この物語に合っているのかなあ。
私の感じたこの作品のイメージとは違う気がしました。
結構すごい話(ショッキング)だったのに,あんな妙に爽やかな感じはどうだろう。
声も音もタイトルも歌詞も・・・。

どうにも余韻に浸れないエンドロールでした。
別のお話だったら良いのだと思うのよ・・・。