『歓喜の歌』を観に行ってまいりました。

立川志の輔さんの落語の映画化。
人情話。
笑って泣けるお話。

思い返してみると,ふふっと笑えるシーンがいくつも浮かびます。
ちょっとほんわかとした気分にもなるおもしろい作品でした。
年末の文化会館で,なんとも情けないトラブル発生というお話。
そのトラブルとは・・・!
ママさんコーラスグループの,大晦日夜のコンサートのダブルブッキング。
このトラブル発生の原因がなんとも情けない。
だけど,とにかくどうにかしなくちゃならないこの事態。

納得できないママさんたちと,トラブルの原因であるやる気のない会館の主任とのドタバタ劇でございます。
あー,ドタバタ・・・ではないな。
ふつーの人たちが,ふつーにこのトラブルにバタバタしてしまうお話。

「それ犯罪でしょう?」
「でも,それでみんなが幸せになれるでしょ。」
もうちょっと中身のあるセリフなのですが端折ってます。
ここ結構すごいことをサラッと言っちゃっているのですが,このすごい理屈が,このお話の軸かなあ。

犯罪云々じゃなくて,どうすればみんなが幸せかってコト。
ちょっと動いてみたらイイじゃない。
動いてみての後悔の方がイイ。
動いてみると何かが変わるかもしれない。
そして,おもしろいモノも観れるかもしれない。

ママさんコーラスへ参加する,パンを焼いてみる,興味のあることに手を出してみる,引きこもってばかりいない,諦めない,歌ってみる,聴いてみる,コンサートに行ってみる・・・。

いろいろあるけど,ちょっと譲ってちょっと動いてみる。
なんだか幸せな方向へ転がっていくような気がする・・・という。

トラブル解決やコンサートではなく,トラブルの渦中にある人とそれに巻き込まれてしまった人たちの姿とその心の変化に重きを置いたお話かなあ。
「歓喜の歌」という曲も,わりとあっさり描かれているように思いました。
それよりも,その裏にいる人たちのことを見ているのかな,と。

大きな作品じゃないけど,なんだか楽しく笑って,ちょっと泣ける。
そしてママさんコーラスという仕事とも家庭ともまた違う,別のところでこれまた大事なことをやっているママさんたちが,羨ましくなるお話でした。

おっさんの金魚と一緒なんでしょうなあ,コーラスってのは。
金魚とコーラスという並列ではなく,おっさんにとっての金魚と,ママさんにとってのコーラスというものの大事さという意味で。
金魚の遺影はシュール過ぎでした。

金魚の話とか,小林薫さんの演技とか含め,いろんなところに落語が見えました。
音もプラスして,前半はわりとそういう雰囲気を大きく出したつくり。
笑えます。
そして後半はちょっと涙も混ぜたドラマの話。

実はちょっとよく考えたらおかしな方向にも行っているのですが。
いろんな話をうまくまとめている。
そして,でもなんだか,まあいいか・・・と思わせるようなまとめもしています。
え!?という展開も,勢いに乗せられ,まあいいね,それもいいね,となっていく。
そしてうっかり笑って,泣いている。

いろんな人たちの,いろんな事態の様子をテンポよく描いていて,観やすい作品。
ドロドロしてないのがイイですな。
気づくと爽やかに事が進んでいる気がしました。

餃子のくらいをもうちょっと膨らましてもイイかなーとも思いましたが,まあいいか・・・。

安田成美さんが,とてもかわいらしく。
声がほんわかと響いて良かったです。



そして,この『歓喜の歌』は,ドラマにもなります。
「どうでしょう製作班」のみなさんがやるそうで。
こちらドラマ版は、キャスト!今のところ未定!放送日時、未定!撮影は2008年初夏を予定!原作落語を活かしつつも、時を夏、場所を北海道のある町に置き換えて、ストーリー展開にもひねりを加えてさらにバカバカしくする予定!であります。
水曜どうでしょう * 2007/12/3)
夏!ってところで,どんなふうになるのやら・・・。

どうやら主演は大泉さんとのこと。

大泉洋で観てみたい,ぜひとも。
主任はそんな役です。
ただ,どうやるかで,がっかりにもなってしまいそうな。
あまりに「そのまま」ではつまらない。
「さらにバカバカしく」がどう転がるか。

まあ,私は観られないんだけど・・・。

大泉さんと言えば,劇中に挽き立て〜♪の缶コーヒーが登場してましたなあ。