新年になったけど,まだ演劇舞台の感想も続きます。(あと10本くらいはあると思う。)
東京ヴォードヴィルショーの『その場しのぎの男たち』。

時は明治,ホントにあった「大津事件」。
ロシアの皇太子を,日本の警官が斬り付けた。
国をあげて回復祈願をしたりと大騒ぎになったようです。
もちろん政府もロシアとの対応にドタバタ。

作品の舞台は,皇太子の滞在するホテルの一室。
政府はどんな話し合いで事態を収めようとしたのか。
総理大臣はじめ大臣ら,男たちのグダグダなやり取りを描くコメディ作品。

どうする?どうしたらいい?
右往左往するおじさんたち。
決して政府一丸となっているワケではなく,それぞれがそれぞれの思惑で考えた案は良い方向に転ぶばかりではなく,かえって事態悪化となったり,揉め事にもなる。
ただ声を出してそのギャグに笑う・・・とかそういうこととはまた違う,話の流れに爆笑というよりもニヤニヤとしてしまうことが続く。

あー,実際こんな感じで政治は動いてるんだろうなあ。
国のことを考えつつ,自分の身を守り,とりあえずその場しのぎで。
結局裏目に出ちゃって,事態は悪化したり・・・。

たぶん,どんな時代に見ても笑えるお話。

大臣らはホテルに駆けつけるが,ロシア側は面会拒否。

傷は深いのか?まさか死んだのか?
ロシアは怒ってるだろうなあ?戦争か?

隣室で状況を想像するしかなく,対応策をあれこれ考える。
どうすれば事態を収めることができるのか・・・。

どうやったら会わせてもらえるのか?
機嫌を取るにはどうしたら?
とりあえず謝ろう!

おともだちを怪我させちゃった親のようだ。

犯人を極刑にしないと許してもらえないだろう。
何で犯人はこんなことしたんだ!
とりあえずそれやってみて,何かあったらあの人のせいに!

許してもらうにはどうしようと,あれこれ悩む。
国家の一大事だと悩む。

ただ,必死なんだけど,すごくマジメに悩んでいるはずなんだけど,どこかおかしい。
打つ手全てが裏目に出て行くありさま。
それでもがんばる,その場しのぎの男たち。

そのうち考えも策も暴走しはじめて。
ついには,くの一まで登場したり・・・。

おもしろかったです。
なんだかこんな一室が,いろんなところであるんだろうなあという感じで観てしまう。
ホントはこんなんであって欲しくは無いけど,こんなもんなんだろうなあ。
大臣だって,ただのおじさんだ。
シュールなおもしろさ。

事件のことも,歴史的背景とかも,実在の人物である大臣たちのことも全然わからないのですが,それでも気にせず楽しめる。
設定がそうであっただけ。

政界を裏で牛耳る伊藤博文役は伊東四朗で。
牛耳るというくらいだから,あたふたとする大臣たちをどっしりとした雰囲気で見ていて,おいおいと突っ込む。
だけどこのひとも,やっぱりちょっと男たちと同じのようだ。
なんだかとぼけてておもしろい。

もちろん他の男たち,その場しのぎさんたちはとぼけすぎ。
訛りのひどい総理大臣に,パシリになってる大臣。
嫌いなやつがヤられてると聞いて,走って部屋を飛び出していく姿が似合いすぎる。
犯人やその妻や,ホテルの従業員やらも登場しますが,さらにぼけぼけ。

マジメなんだよ,一応。
だけど,どうもおかしい。

勢いでやるのではなく,ちょっとグダグダと進む話ですが,じわーっとおもしろさが増してくる舞台です。
お約束のやり取りもあったりして,深く腰掛けて安心して見られるような楽しい作品でした。