前に『Sweet7』の感想を書きましたが,同じ小林賢太郎プロデュース公演の舞台『LENS』。
これはちょっとミステリー仕立てのコメディーです。

とある図書館で本がごっそり盗まれる事件が起こり,その解明に刑事やたまたま集った人たちが乗り出すお話。
図書館司書,張り込みしている巡査,警視庁の警部,妙に鋭い才能の無い作家志望,人力車夫・・・。
みんなそれぞれちょっとボケボケした人たちで。
推理をしていくんだけど,おかしな方向に進んでみたり,でもそれがうまーく繋がったりと,彼らのやりとりが楽しい作品。
舞台は昭和初期。
レトロな図書館セットや衣装,小道具(お弁当とか!)。
それに合わせたキャストの姿がイイです。

そして,オープニングのカフェのシーンが効果的。
スーッとその時代,舞台に引き込まれ。
で,2人のやり取りに笑い。
さらに,ここのやり取りがそのあとも笑いを生んだり。

タンクトップ姿の久ヶ沢さんがおもしろくて仕方ありません。
ちょっとおバカな警官さん。
キャラメル欲しさに必死でお手伝い。
彼とそれぞれのキャラとのやり取りがイイのだなあ。

クスクスとした笑いが続きます。

ラストはふわーっとしていて良いです。
「結」になるのに,ダラダラとまだやり取りを続け,結局なんだか爽やかに終わる最後。
ドラマとか映画だったらもしかしたらスッキリしない「結」かもしれないけど,「まあいいやぁね」と思ってしまうのはなんでしょう。

ミステリーと,その謎を解くことが主じゃないからでしょうなあ。
そんなに大した事件じゃありません。
それに,観ている方もその事件・事実自体にはあまり興味が湧かず。
あぁ・・・っていう感じで。
(ちょっとミステリー部分はゆるくて,ミステリーを楽しみたいのならこれではないと思います。)

いや,それよりもこいつらの話の方がおもしろいだろう・・・。
このまままだ解明されずに推理し続けバタバタしてたらイイのに・・・っていう。
「犯人は!」と始まってしまったときには,「えー終わりかぁ」とがっかりしてしまいましたもの。
(いや,それにしてもちょっとこのシーンは唐突過ぎやしなかっただろうか。)

嵐のようにみんなが登場し,ごちゃごちゃとやり合い,「じゃあさようなら」という感じの流れです。
外から図書館を覗いてみたら,変な人たちが真剣そうだけどおかしなやり取りしてたぞーっていう。

わりとおもしろかったです。