なんだか久しぶりだの映画館。
阿部寛がちゃぶ台ひっくり返すお話(!?),『自虐の詩』を観に行ってまいりました。

邦画はなかなか簡単には引っかからない私ですが,あべひろしがちゃぶ台ひっくり返すんだって!ってだけで,なんとなくこれはおもしろそうだと興味が湧いて,観に行ってまいりました。

おもしろかったです,かなり。
百面相並みにスゴイ顔になって自分が観てるコトに気づいたくらい。
隣にヒトがいたのに,うっかり涙をボロボロ流したくらい。

なんだかしょーもない男と,それに尽くす女。
だけど,この男が実はイイ男なんだな。
だから,この女は幸せなんだな。

これは,単純に,シンプルなコトに笑って泣ける作品。
昭和のドラマみたい。
でも,シンプルだけど,役者と,演出と,作ったヒトたち全ての力があってうまくいった作品。
良かったです。

あべひろしと,くまもとさんがサイコウでした。
この阿部寛演じる「あんた」がイイんだ。
イイ奴なんだ。

足は洗っているようだけど,パンチパーマ姿で,日課はパチンコにカツアゲに喫茶店でのんびり。
さらに,切れては殴り,ちゃぶ台をひっくり返す。
自分がひっくり返してダメになった食事の変わりに取った出前寿司が4000円だと聞いて,「たかい!」とひっくり返す。
これ以上ひっくり返されては・・・と,策に出た女の裏をかいて,やっぱりひっくり返す。
もう何がなんだか。

でも,イイ奴なんだ。
ただうまく自分の気持ちを表せないだけ。
不器用なんだろうなあ。

後半,2人に大きな出来事が起こって。
で,2人が一緒にいるワケが描かれる。
彼女の過去,2人の過去。

すごく泣けます。

彼女が男と一緒にいるコトに納得できます。
ちゃぶ台ひっくり返す男なんてゴメンだけど,彼女は幸せなんだなあと。
「おまもり」もかわいらしくてイイ。

ただの恋愛ドラマです。
でも,彼らの一生を想える,観ていて幸せな気持ちになれるドラマです。

しゃべらん阿部寛も,イイもんです。
(上田@とりっく,かなり好きですが。)

それから,女の中学時代の話に,友だちが出てくるのですが。
この子はもうギャグです。
名前からして。(制服の名札が「熊本 ゴ 明美」ですから・・・!)

だけど,最初はこの子に泣かされました。
お弁当がね,泣けた。
想像できてしまうようなコトだったかもしれないけど,笑わせながら描かれた伏線にヤられ,単純に泣けた。
この子はホントに友だちなんだなーと。
ゆきえに,「あんた,幸せじゃん!」って大きな声で言えますな。

ウルッと来てしまいました。

で,次に泣いたのが,ゆきえが目を覚ました瞬間。
男が見えた瞬間。

なんでしょうねえ。
こういう普通の泣かせようとするシーンに,まんまと引っかかって泣いてしまうのです。
やっぱり,「あんた,幸せじゃん!」ってゆきえに言えるシーンです。

ドラマ,ではないですね。
やっぱりこれは映画です。
次回を期待するようなドロドロはない。
シンプルに2人の男女の物語。
そしてなんだかステキなお話。

すごく大きな・・・じゃないけど,ほんのり感動しました。

もちろん,たくさん笑いどころもあります。
さすが堤さん。

大事なちゃぶ台シーンは,しつこいほどおもしろい。
じっくり描いています。
たぶん,何度見てもおもしろい。
他にも,パチンコやら警察やら嵐の中の自転車やらお決まりのオチのシーンも,お弁当話も,やっぱりしつこいけどイイ。

テンポ,かな。
そういうシーンて,長い!いらない!って思えてしまいそうだけど,そうはならない。
思わず笑ってしまうし,印象に残る。
必要なシーンに思える。
お話をぶった切られるコトもなく,後に引くこともなく,サラッとそういうシーンがあるように思います。

まあラストはただヒドイですがね。
ズラッと同じ姿勢でタバコを吸うヒトたち,こんなビッグ(!)ゲスト,その手紙を出すのか・・・とか。

ホントにただただ,笑って泣けるお話です。
幸せな時間が持てました。