この春やっていたTEAM NACSの舞台『HONOR 〜守り続けた痛みと共に〜』がDVDになりました。

この作品は,うーん・・・とある村のお祭りを巡る,山の木を巡る,ナゾのおじいさんを巡る長いお話。
ひとつの村の,とある男たちの人生の物語。

すごく泣けるました。
2時間のうち,後半1時間はずーっと泣いておりました。
涙も嗚咽も止まらない。
何でこんなに泣いてるのだろうと,ふと我にかえるくらい。
なんだか,悲しかったのです。

このお話は,70年という長い時の流れがあって。
人物も,戦争時代の男たちからその孫がおじいさんになるまで,と3世代の男たちが出てくる。
いろいろな出来事が積み重なって,人生が動いていく。

そのキーとなるのが,ナゾのおじいさんで。
なんだか,彼の姿を観ていたら,とにかく悲しくて悲しくて・・・。

お祭りを絡めたふるさとのお話ってとこですが,すごく泣かせる芝居でイイ作品でした。
村には。
昔から続いていた太鼓と花火のお祭りがありました。
でも途中でやらなくなってしまったよう。

村には。
ナゾのおじいさんがいます。
子どもたちは彼に太鼓を教えてもらう。
でも,ちょっとホラ吹きで変なおじいさん。
オトナからも,あまり近づくなと言われている。

村には。
山があって,その昔大きな木があった。
その山に来ると,死んだ人に会えると言われているらしい。

こんなことが絡み合ったお話。
複雑にはなっていないけど,時代がさかのぼったり,また戻ったり。
前半はだいぶジワジワと話が進み,お祭りや,おじいさんや,木の話がだんだん結びついていき,1時間くらいたったところで,ハッと息を呑む。

何かが繋がるのです。
そうしたら,もう涙が止まらなくなりました。
うろうろしているナゾのおじいさん(五作さん)が前に出てきたときから,大きく動きました。
私の涙腺も大きく動きました。

もう五作さんを見るだけで涙が出る。
五作さんの話になるだけで涙が出る。
それは,きっと前半でちゃんと五作さんの姿が作られていたからなのでしょうなあ。
このおじいさんの,若かった頃。
その頃があって,今の彼がいる。

五作さんの一途な姿に,最後まで泣きっぱなしでした。
(これは五作さんというキャラクターがイイのか,それを演じる安田さんなのか,彼を取り巻くお話なのか,他の4人がイイのか,全て総合してなのか。ああ,あの音楽もせつなかった。)

ただの,ふるさとに戻ってくる若者の話じゃない。
彼らが戻ってくるのは,村には五作さんがいて,彼らのおじいさんたちがいて,お祭りの太鼓があって,たくさんの木があって。
わざとらしくなく,そしてきっと彼らもうまく言えないけどなんとなくというように,彼らは必然的に集まっているのだなあ。

イイお話です。

そして,もちろん舞台としてもひとつのワールドをちゃんと作っているのだなあ。
階段やカーテンくらいという極力セットを少なくしたステージ。
次々出てくる彼らやスポットが色となり,村や森や異国や時代を作っている。
だから余計に引き込まれる。
もうその村の背景は想像するしかないんだけど,でも,演じている5人の周りに村がちゃんとあるのだな,たぶん。
彼らを見ているだけで十分なのです。

ちなみにTEAM NACSは5人のチーム。
で,この作品は(ここ最近の作品は)5人だけの舞台。
ひとり3〜4役もやってます。
それでも世界は崩れない。

そして,舞台らしく,たくさん笑わせてももらいました。
お話はそんなに笑いを取る必要のあるような内容ではないのですが,ところどころおもしろい。(最初の方は飛ばしてます。目つき腕折り,ジャングル・・・ケンさん,チェッカーズ・・・。)
おじいさんだし子どもだし,脱いでたし,女もフィリピン人も演ってた。(ケンさんは意味不明でしたが,ハナちゃんは意味があったのだなあ。)
ほとんどが出オチですな。
でもそこを過ぎると,その姿もただの人の姿になるからスゴイ。
それから,頭話でちょっと笑わせてたのも,泣き笑いになってしまいました。

ちょっと泣かせつつ,だけど突然おバカなシーンが入るのが舞台のおもしろいところ。
やはり舞台もイイもんですな。

そうそう,太鼓のお話・・・というコトで,全員太鼓叩いてます。
本気で。
2時間以上の舞台をほとんど出ずっぱりで,衣装チェンジもあってキツイのに,さらにあの太鼓を演じている上であれだけ叩くのには驚きです。
観てるほうが,倒れそうです。
でも,いいシーンでもあるのです。
泣けるのです。

うまいかどうかというか揃っているのかどうかはわからないけど,ものすごく感心してしまいました。
がんばるなあ,すげぇなあと思うのです。
そしてカッコイイのですな。
生で観たらもっと迫力があったでしょうなあ・・・。


キャラクターとしては,やはり五作さん・・・熱演の安田さんが良いですが。
全体通して観ると,いろんなキャラを総合して音尾さんもかなり強烈でございました。
チエちゃんは別として,最初のおじいちゃんも,ダバオさんも,後半の素の姿のままのも,なんだかいろんな意味でかわいらしい。
安田さんや誰かと一緒になって,2人で芝居している姿もやはりかわいらしかった。