『幸せのレシピ』を観に行ってまいりました。

これ数年前のドイツ映画のリメイクで,元の作品『マーサの幸せレシピ』はちょっぴり優しくそしておいしい映画でした。
不器用な女性シェフがあるきっかけでちょっとだけ心を開いていくっていう,特別強い何かがあるような作品ではなく,ただほんのり温かくなれる物語。

そういえばこれ,単館上映でしたな。
たぶん,単館だからなんだかイイっていうのがあったんじゃないかなーと思います。
イイお話なんだけど,シンプル過ぎるお話なので,ちょっとこっそり小さくてチープな感じの劇場で観るのがイイかなーと。
でも作品自体は,今回のキャサリン・ゼタ・ジョーンズ版もまあ良かったです。
なかなか彼女はハマリ役。

でも,元のもそうだったかもしれないけど,やはりちょっととっ散らかった印象でした。
シンプルはシンプルなんです。
ケイトという女性が,すこーし変わるお話。
ケイトとゾーイ,ケイトとニック,ケイトとお仕事・・・。

これ,もうちょっとじっくりゆっくり描けているとイイんですけどな。
迷ったけど,ケイトのお話だから,ゾーイの心の揺れなんかはあれくらいが良いと思う。
でもケイトはなんだかちょっと物足りない。
ゾーイとの関係の築き方,ニックへの気持ちの変わり方,自分の城への想い,仕事への想い・・・。
あちこち話が飛びすぎて,ひとりの女性の話のはずなのに,なんとなくバラバラに感じてしまいました。

わかるんだけど,すごくどういうコトなのか,彼女自身がどういう気持ちなのか考えればわかることなんだけど,ちょっと走り過ぎかなあ・・・。
早朝にお魚仕入れに行くシーンを入れるなら,中途半端なセラピーシーンを入れるなら,もうちょっとケイトのおうちでのシーンがあっても良かったかなあなんて。
動きはそんなになくて良いと思うの。
ジーッとケイトが座っているだけでも良いと思うの。
彼女が悩んでいるようなシーンがもうちょっと長かったら良かったかなあなんて思いました。(勝手な想いですが。)

それから,おいしそうな料理がもっと出てくるコトを期待していたかも。
レストランの厨房では前菜からメインからデザートまでたくさん料理が出てきます。
ケイトのお家でも。
たくさん出てくるんだけど,もうちょっとおいしそうに映ると良かったかなあ・・・。
デザートがアップで映るシーンがあったけど,中途半端にアップすぎてガッカリでした。

とはいえ,この作品のイイところは,清潔感みたいなところ。
マーサはもっとピシッとした感じが強かったけど,ケイトもそれなりに。
キャサリン・ゼタ・ジョーンズがそういう雰囲気なんでしょうなあ。
ただそこに立っているだけけで,ステキ。
ピシッとしている。
背が高くてスタイルが良くて,美人だからでしょうなあ。

だから,真っ白なエプロンを付けてる彼女が立つ明るい厨房も薄暗いレストラン店内も,白や黒の地味な服で過ごす彼女の家の中も,真っ黒のコートで歩く道も,全て清潔感みたいなものが感じられて。
それがケイトという女性自身でもあるんだけど,なんというか,そういうスッキリとした感じも映画全体の雰囲気を作っているのだな。
それがイイのです。

見た目はシンプルだけど,でも愛が膨らむお話だから温かい。
そういう映画です。

相手役のイタリアン男は,あのおっさんマリオよりアーロン・エーカットの方が良かったかも。
軽くて,子どもにも誰にでも好かれるようなっていう設定の男自体は好きではないのだけど,この作品の中では大事な役で。
で,それが似合う男というコトで,彼は良かったと思います。
うーん,ゾーイのごはんのきっかけになる厨房でのシーンなんかは,お約束過ぎて,おっさんの方が嫌味なく観れるとは思うけど・・・。

ゾーイちゃんは問題なくかわいらしかったですな。

階下の隣人ショーンさんはかわいそうな役でしたなあ・・・。
最初の登場で,クセのある困ったさんかなと思いましたが,イイ人じゃあないか。
ゾーイを見ててくれたのに,酔っ払ったケイトたちが帰ってきたのには同情してしまいました。

話を知っているだけに,泣けなかったり,期待し過ぎていたり,見方がちょっともったいなかったかなあと思ってしまった鑑賞でした。