11邦画だけど全編フィンランドが舞台の映画『かもめ食堂』を観ました。
ゆーったりとした時間が流れていて,日本語も和食も(もちろんフィンランドに関するものも出てくるけど。)でてきて,その雰囲気や映像のキレイさにとってもホッとする作品。

街の片隅に食堂を開いたサチエさん。
お客さんは全然来なくって,毎日店の前を近所のおばさんたちがウワサしながら通ってく。
でもサチエさんは焦っていたりはしなくて,毎日変わらず開店準備をしてお店をキレイにしてお客さんを待っている。
この時点でもうなんだかちょっとうらやましい。
ガラス張りで青と白と鏡のある明るいお店で,その外から見た風景とか時間の流れや,サチエさんの姿にホッとさせられます。
(小林聡美さんがホントにピッタリの役なんだ・・・!)

そのうちだんだん人が増えてくる。
青年,日本人旅行者の女性たち,おばさんたち,コーヒーの人・・・。
お店が賑わうように,おいしいモノを出せるようにみんなが手を貸してくれる。
だけど,冒頭で出てきたお客の来ない頃のサチエさんが作っていたホッとする雰囲気は消えない。

それは,サチエさんがこだわるおにぎりのせいかもしれない。
お店の内装からかもし出される雰囲気かもしれない。
サチエさんのプール通いかもしれない。
食堂が舞台で,おいしいご飯をみんなで試行錯誤しながら楽しみながら笑いながら作ってて。
登場人物たちの素朴さがあって。
そういうところ全部が,ホッとさせてくれるのだと思います。

清潔そうで明るいキレイな食堂で,だけど堅苦しいワケでもなく,普通のヒトがお客さんで,それぞれ何か抱えているモノはあるだどうけどそれは食堂内には持ち込まなくて,で,ここで過ごすことが楽しそうで,そういうところにおにぎりとか焼き魚とかシナモンロールとかコーヒーとか,イイ匂いがしておいしそうな食べ物が出てきて・・・。

感動するとか心温まるとか,それから胸にずーんと響くとか,強い衝撃を受けるようなモノではなく,なんだかいいなー・・・と記憶の片隅にその風景が残るような作品でした。