旅中,ホテルで映画を観ました。
『アイ・アム・デビッド』という作品。
だんだんと涙が込み上げてきて,心がじんわりと暖まる・・・というか,なんだかホッとするお話でした。

戦後のブルガリア。
収容所に入れられ先の見えない過酷な日々を送っている少年デビッドは,ある日脱走をする。(するように促されて。)
手を貸してくれた人物や友人には,「デンマークへ向かえ。」,そして,「誰も信じるな。」と言われた。
デビッドは,託された手紙を持って,未来に希望を持って,北を目指し旅をする。
ひとりぼっちで。
外の世界を何も知らないデビッドは,たくさんの人々に出会い,いろんな出来事に遭遇し,そしてとまどいながら,長い長いを旅していきます。
それは,捕まってしまう恐怖や危機に何度もあったり,威圧的な態度の兵士など収容所の恐ろしい思い出が甦るなど,ツライ道のりでもあり,一方でたくさんの優しさにも出会う旅。

どこから来たの?お父さんお母さんは?
出会った人々はデビッドを心配して,いろいろしてくれるワケだけど,でもデビッドはその優しさにも怯える。
また戻ってしまうかもしれない,それに嫌な出来事も思い出す。
人を信じてイイものか。
でも信じるなと言われた。
そんな葛藤を持ちつつ,でもいろんな人や出来事との遭遇で,デビッドは生きるため,そしてデンマークへ辿りつくため,だんだん成長していくワケです。

「あの子に笑顔を・・・。」
デビッドは感情を失ってしまったとかそういう子ではなく,ただ哀しい目をした笑い方を忘れてしまったという感じの子。
警戒心のようなものから表情や態度がそうなってしまっただけ。
そういうキャラクターだから,周りの働きかけと彼自身のちょっとした変化が自然でわかりやすくて,素直にじんわりと心が暖まるような気がしました。

どれくらいの月日とか時間とか距離とか,そういうコトは観ていてよくわからないけれど,でも。
妙に短くないかとか長くないかとか,あっさりとかクドイとか,ココはもうちょっと・・・とか,そういうコトは全然感じません。
街や山を越え,出会いがあって,そしてデビッドの変化があって。
そういう流れの全てがやっぱり自然。
デビッドの変化も合わせて,ちゃんと伝わってくるのです。
うまいと思う。

収容所から離れたあと,デビッドの旅する風景も,それだけでかなりイイです。
ひまわり畑が出てきたり自然がいっぱいで,街なんかも小さくてそこにある店や家もかわいらしい。
もちろん森とかどこまでも続く山とか,歩いて旅するなんて想像できない風景も出てくるけど,その辺もさりげなくうまく描いています。

それからそれから。
だんだんわかってくるコトっていうのがあります。
デビッドはわかっているコトで彼の回想で観ている側がわかってくるコト,それと,デビッドも知らなかったコト。
その全てがわかったときにそのわかったコトにじんわり心が暖まります。
あー・・・って,あーそうかー・・・って。
で,そこに今までと今とこれからのデビッド自身を重ね,さらにデビッド以外の人たちの想いなんかも重ねていくと,じんわり度がもっともっとアップ。
で,そのつながりみたいなモノにホッとするのです。
みんながみんな悪い人ばかりじゃない。

強い印象を残すようなモノではないけどでも,観てよかったなー,ちょっとしたイイ時間を過ごせたなーという感じのお話でした。