フランス映画『コーラス』。
いつから家にあるのかもう覚えていませんが,いつか観ようと思ってそのままでして,やっと今日観ました。

悪さを繰り返し起こしてきた子や孤児,それぞれいろいろな問題を抱えた子どもが暮らす寄宿学校"池の底"。
手に負えない子どもたちと,横暴な校長と,諦めている教師たち。
そこへひとりの先生がやってきて・・・というお話。

ストーリーの展開とか登場人物のキャラクターとか,そういう全体的なものはそれほど意外性のあるものでもなく,こういう作品ではよく見られるようなわりと普通のもの。
これはキツイよねっていう状況と,でもこのヒトがこれをなんとかしてしまうんだろうという展開までは見えているもの。

で,こういうのは,これをどう描くかってのが問題。
この作品は,うーん,フランス映画だった。
ハリウッド映画ではない。
そういう映画にはない描き方や場面がたくさん散りばめられていて,決して派手じゃなく,最後に感動的な成功の場面を作り出すところは目指してない。
喜びとか笑顔とかももちろんあるけど,ちょっと寂しさとか悲しさとかも残す,そんな作品。
1回ではなんともいえず,とりあえず2回観ました。
それでもまだ大きな感動までは行かず,不思議な余韻が残っています。
やっぱり主人公のマチュー先生の描き方が違う。
とっても普通の人間らしく,挫折を繰り返してきたらしい"ハゲ頭"先生。
決して思いっきり型破りなわけでもなく,あからさまに子どもの目線に立つよなんていう態度でもなく,パッと見どちら側なんだろうという感じ。
校長の指導に首をかしげるだけだったり,態度の悪い生徒に動揺しながらも生徒に威厳を示さなきゃと頑張ってみたり,才能ある生徒に戸惑ってみたり,生徒の親に一目惚れをしたうえあっさり失恋してしまったり・・・。
わりと普通のおじさん。
親から「あんな先生じゃ困るわっ」と苦情がくるような先生でもない。

先生は決して何とかしようと思ってこの学校にやってきたワケじゃなくて。(最悪の状況だというセリフがある。)
でも挫折しながらも教師を続けてきたヒト。
だからきっと子どもたちと音楽が,ホントに好きなんだろう。
「きっとこの子たちは,ホントはそんな子じゃないんだ」という想い,「好きな音楽をやりたい,自分の作った歌を歌わせてみたい」という想いを胸に抱いて,なんとかしてみたいなーと想いを日記に綴りながら毎日奮闘する。
その勢いだけじゃない,半分諦めも持ちつつの姿が印象に残ります。

結局どうにもならない場面がいくつか出てきたり,コーラスが上達するのとはまた別に,いろんなコトが全てうまくは行っていない。
モンダンの件とか,別れのシーンとか,そんなに劇的ではない。
この場面だけでなく,全編通してそんな雰囲気が漂っていました。

音楽を通して,先生も生徒もちょっとだけそれぞれが背負っているものへのツライ想いと戦って,ちょっとだけ心を取り戻せたんじゃないかと感じさせられるところまでの作品。
そんな風に思いました。

ペピノが先生を追っかけた話だけは,この作品の中で唯一単純に涙が出る場面でした。(わかりやすいという意味で。)
子どもたちの人生の,ほんのひとときに現れた音楽を教えてくれた先生。
その後を知っているのは彼だけ・・・。

ペピノくん,かわいかった・・・。