ものすごく久々,新年1作目,映画を観に行ってまいりました。
絶対におもしろいはず,という期待があったから,今年最初の映画はこれにすると決めていて。
でもBSBに浸っていてしばらく行く気にはなれなくて。
それでもこの辺りでBSBは吹っ切らないと,という想いもあって。
今日行ってまいりました,『THE有頂天ホテル』。

おもしろい。
これは期待通りにおもしろい。
三谷作品らしい,おもしろさ。
笑いが止まらないとか,そういう単純なおもしろさではなくて,作品全体に漂う雰囲気とか脚本のうまさとかキャストそれぞれの濃さとか,そういういろんなところがすべておもしろかったです。

あるホテルの大晦日が舞台。
たくさんの客がロビーや通路を行きかっていて。
話題の政治家や大物歌手から,普通の宿泊客,コールガール,それかそれから・・・。
そして大晦日らしくカウントダウン・パーティーとか新年を迎える準備とか,それから1年の締めくくりとして授賞式があって忙しいホテル従業員。
ものすごくたくさんの登場人物。
それがどんどん出てきて,それぞれがいろんなエピソードを持っていて。
一見,完全にドタバタなんだけど,そういう全てをゴチャゴチャにならずにうまーく描いているので,すんなり映画の中に入っていけます。
しかもひとりひとりを丁寧に描いているけど,テンポはとっても良くて。
でもそのテンポのせいで,話が中途半端になったり,わけのわからないままになっていたりもしなくて。
あぁ,ホントにうまいなーという感じ。
これはホントにおもしろかったです。
そのたくさんの登場人物。
それぞれみんな個性が強すぎ,濃すぎ。
ひとりひとりが主役をやれるようなヒトたちがたくさん。
でもきっとこの役柄でこのひとばかり見ていたら,飽きそう,疲れそうと思ってしまったくらいで。
このたくさんの中のひとりとして観るからちょうどイイんだろうなあという感じ。

やっぱりうまいなあ。
両手から溢れそうな素材を,ホントに上手にまとめたんだなぁと驚きました。

クスッと笑えるコトが多くて,ついでにホロッと泣きそうなところもある。
それから,とある登場人物が後半「ウォー!」と叫ぶ場面があるんだけど,それには観ているこちら側も同じように「おー・・・!」と叫びたくなりました。
わりとベタな感じがしないでもないけど,それでもおぉーと思えたエピソード。
見栄張っちゃったヒトのオチもわりとベタだし,白塗りで走り回っちゃうドタバタもくだらない,それから"耳"とか"おでこ"とかもありえないんだけど,でもなんだか素直に笑えちゃう。
これはスゴイなと思いました。

それに脚本もスゴイけど,それを演じる役者さんもやっぱりそれだけのコトができるヒトたち。
たくさんの登場人物がいるけど,それでもその中でみんなちゃんと存在感を残していて。
その一瞬の場面で,強い印象を残す演技をしていて。
ふと思い出すとすぐその場面がよみがえって来る。
武藤田さんとか後半は出てくるたびにすごかったですものー。
記憶を繋げたら,しっかり最初から最後までストーリーを追えるんじゃないかと思うくらい。
スゴイよなー。
豪華でした。

これ年末に公開できればよかったのにー。
年末に見ていたら,新年をどう迎えるかとかいろいろ考えるきっかけにもなったかも。
「やりたいことをやれ」っていうコトを気づいたらしきりに言っていたり。
BSBが終わっちゃったから,もう今年は終わりかなと思っていたので,これを観た今夜を大晦日に,また明日から新年のつもりでがんばろう,とふと思いました。

大作とかそういうのとはまた違った,でもエンターテイメントとしてすばらしい作品。
何度も観たら疲れちゃいそうだけど,忘れられない作品でした。